2016年7月9日土曜日

南に10km、東に10km、北に10km進んだら元の場所

有名クイズを紹介します。

「ある地点」から、南へ10km、東へ10km、北へ10kmと順に進むと、再び始めの「ある地点」に戻ってくる。地球上でそんなことが有り得る「ある地点」をお答え下さい。

普通の場所だと、南へ10km、東へ10km、北へ10kmと順に進むと、最初にいた「ある地点」から10km東の場所に到着します。もし、このような「ある地点」があるとしたら、東西南北について特別な場所やその周辺に絞られます。それは、北極圏や南極圏です。

そう考えてみると、北極点は「ある地点」の候補であることは比較的簡単に考えつきますね。北極点から南に(どちらを向いても南なので適当に決めて)10km進みます。問題はそこから東に進むというのがどういうことかです。 北極点の近くでは、方位磁石を見ながら常に東の方向に進んでいくと、まっすぐではなく、北極点を中心にした半径10kmの円弧の上を左にカーブしながら進むことになります。そうやって10km進んだ地点の北極点からの距離は10kmです。そこから北へ、つまり北極点に向かって10km進むと、出発点の北極点に戻ります。




では、地球上に、北極点以外に「ある地点」に当てはまる場所はあるでしょうか?

東に10km進んだら極点の回りを一周してもとの場所に戻る地点は、北極圏や南極圏にあります。極点から(5/π)km離れた場所です。計算すると約1.59kmですね。半径(5/π)kmの円周は10kmですから、東に10km進むとちょうど一周することになります。南に10km進んだ場所が極点から(5/π)kmということは、北極点の周辺ではありえませんから、南極点の周辺になります。南極点から10+(5/π)kmの場所が「ある地点」にあてはまることになります。「ある地点」から南に10km進むと、南極点から(5/π)kmの場所になります。そこから方位磁石を見ながら常に東の方向に進んでいくと、まっすぐではなく、南極点を中心にした半径(5/π)kmの円周の上を右にカーブしながら進んで、ちょうど10km進んだところで一周します。そこから北に10km進むと、出発点に戻ります。




他にはないでしょうか?

東に10km進んだら極点の回りを二周してもとの場所に戻る地点を考えれば、同様ですね。極点から(5/2π)km離れた場所です。南極点から10+(5/2π)kmの場所が「ある地点」にあてはまることになります。


同じように極点の回りをn周してもとの場所に戻る地点を考えれば、同様です。つまり、南極点から10+(5/nπ)km(ただしn=1,2,3...無限大)の場所が「ある地点」にあてはまることになります。

ところで、北極点や南極点の近くで、東に10km進むというのは、 方位磁石を見ながら常に東の方向に進んで、極点を中心にした円弧の上をカーブしながら進むということで良いのでしょうか?実はここは議論があります。一旦、東と決めた方向にまっすぐ進むのが正しいとする考え方もあります。その考えにたつと、この問題は解なしになります。



4 件のコメント:

  1. 突然 失礼します。
    今年令和2年度の神奈川県公立高校入試で類似の問題がでましたが正解が公表されていないので正解がわかりません。ご教示いただければありがたいです。

    北極点から南に10km進み、その地点でコンパスで東の方位を一度だけ確認して、ひたすらその方位に向かって10km進み(その地点はコンパスを持って常に東を確認して進んだ到着地点とは異なる。またコンパスを持って常に東を確認して10km進んだ到着地点から北へ10km進めば北極点に戻れることが問題文に記載あり)、その地点で北に向かって10km進んでも北極点には戻れません。しかし、この方法で進んだ場合でもそれぞれの方位に進む距離を10kmではなく別の距離に変えれば北極点に戻ることが出来ます。地球の周囲の長さを約40000kmとすると、約何kmずつ進むと北極点に戻れますか?
    以下から最も適するものを選びなさい。
    100km、200km、400km、1000km、2000km、4000km、10000km、20000km

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  2. 北極点から赤道まで降りてくれば、東に進む際に常にコンパスの東に向かうのと最初に1度だけ東を確認して真っ直ぐ進むのとは理論上同じ進路になるはずです。
    なので周囲の長さの4分の1である10000kmが答えではないでしょうか。
    おそらく「地球が真球であるとする」のような記述も問題文にはあると思います。

    あとはもっと南に降りていくと所与の条件で最初1回の東方向確認で真っすぐ進んで南半球を回って同じ緯度に戻ることができる地点があると思うので、そちらも問題文に合致する地点とはなりますが、選択肢の中にはないですね(具体的な数値は未計算です)。

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    1. 南極点まで降りて、東に進んだあと北へ同じ距離のぼっても北極点にはつきませんか。

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    2. 南極点において東西はありません。なぜなら、直進したときに北極点に達する方角が北であるからです。南極からはどの方角に直進しても北極点に辿り着くので南極点においては北しか存在しないのです。

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