有名クイズを紹介します。
「ある地点」から、南へ10km、東へ10km、北へ10kmと順に進むと、再び始めの「ある地点」に戻ってくる。地球上でそんなことが有り得る「ある地点」をお答え下さい。
普通の場所だと、南へ10km、東へ10km、北へ10kmと順に進むと、最初にいた「ある地点」から10km東の場所に到着します。もし、このような「ある地点」があるとしたら、東西南北について特別な場所やその周辺に絞られます。それは、北極圏や南極圏です。
そう考えてみると、北極点は「ある地点」の候補であることは比較的簡単に考えつきますね。北極点から南に(どちらを向いても南なので適当に決めて)10km進みます。問題はそこから東に進むというのがどういうことかです。 北極点の近くでは、方位磁石を見ながら常に東の方向に進んでいくと、まっすぐではなく、北極点を中心にした半径10kmの円弧の上を左にカーブしながら進むことになります。そうやって10km進んだ地点の北極点からの距離は10kmです。そこから北へ、つまり北極点に向かって10km進むと、出発点の北極点に戻ります。
では、地球上に、北極点以外に「ある地点」に当てはまる場所はあるでしょうか?
東に10km進んだら極点の回りを一周してもとの場所に戻る地点は、北極圏や南極圏にあります。極点から(5/π)km離れた場所です。計算すると約1.59kmですね。半径(5/π)kmの円周は10kmですから、東に10km進むとちょうど一周することになります。南に10km進んだ場所が極点から(5/π)kmということは、北極点の周辺ではありえませんから、南極点の周辺になります。南極点から10+(5/π)kmの場所が「ある地点」にあてはまることになります。「ある地点」から南に10km進むと、南極点から(5/π)kmの場所になります。そこから方位磁石を見ながら常に東の方向に進んでいくと、まっすぐではなく、南極点を中心にした半径(5/π)kmの円周の上を右にカーブしながら進んで、ちょうど10km進んだところで一周します。そこから北に10km進むと、出発点に戻ります。
他にはないでしょうか?
東に10km進んだら極点の回りを二周してもとの場所に戻る地点を考えれば、同様ですね。極点から(5/2π)km離れた場所です。南極点から10+(5/2π)kmの場所が「ある地点」にあてはまることになります。
同じように極点の回りをn周してもとの場所に戻る地点を考えれば、同様です。つまり、南極点から10+(5/nπ)km(ただしn=1,2,3...無限大)の場所が「ある地点」にあてはまることになります。
ところで、北極点や南極点の近くで、東に10km進むというのは、 方位磁石を見ながら常に東の方向に進んで、極点を中心にした円弧の上をカーブしながら進むということで良いのでしょうか?実はここは議論があります。一旦、東と決めた方向にまっすぐ進むのが正しいとする考え方もあります。その考えにたつと、この問題は解なしになります。